第一章 「奇跡の剣」

まりおすは、岩にそって小船を漕いだ。しかし、黒々とした岩肌は、何処まで行っても続いた。どこかに小船を着けなければ、彼はそう思い岩肌を見上げた。だが、それは険しく登れそうなところは見当たらなかった。まりおすが、半分あきらめかけていたときであった、前方の視界が開け、白く光る砂浜が見えてきた。「やった!」、彼は叫ぶと懸命に腕でまた漕ぎ始めた。海はだんだん浅くなり、白い波が砂浜を走っていた。波に押されるように小船は砂浜にたどり着いた。まりおすは、何日かぶりの大地に足を置いた。まさに奇跡としかいいようがない幸運の出来事であった。彼は一歩、また一歩と地面を踏みしめた。柔らかく優しい砂が彼の足を包んだ。砂浜の向こうには、緑は広がっており、何よりもやしの木が彼を出迎えていた。まりおすはのどの渇きと空腹を満たすことが出来た。彼は、その木の下で休むことにした。

しばらく休んだまりおすは、十分とはいえないが体力も回復していた。まりおすは、奥の方へと歩き始めた。辺りは道という道はないが、低い草ばかりが生えていて歩くのは難しくなかった。何処というあてはないが、彼はひたすら歩き続けた。

しばらく、行くとなにやら、石で造られた、建物や石像が見えてきた、「町だ!」、彼は走り出した。助かった、彼は心の底からわきあがる思いを抑え、必死に走っていった。だが、またもやかれを愕然とさせる光景が、目の前に広がってきた。建物は朽ち果て、石像の顔や頭が壊されていた。人の姿はなく、もう長い間、このまま時間がたってしまったような光景であった。かつては、にぎやかであっただろう、石畳の通りも、今は生温い風が吹き抜けるだけであった。